起業家の本質 〜ウィルソン・ハーレル〜

                       f:id:okubotyan:20150823112948j:image
「起業家の多くは周囲の人たちとは生まれながらにして異なった性質を持っている。それは自由への希求である。」

というのが本著の基本メッセージです。

本著では人間を(海賊)と(農民)の2種類のタイプに大別し、それを「会社を創る天才=海賊」と、「大企業を経営する人物=農民」に例えています。

また、その両者が同じ人物であってはならないことを理解しなくてはならないと言っています。

海賊は農民のような働きはできないし、農民は海賊にはなれないということを理解しないと失敗するということです。

ただし、ここで重要な事実があります。海賊の中には、農民へ変化できる人物がいて、その変化は企業が成長するに伴って自身を変えていくというプロセスを経るということだそうです。

つまり、起業には圧倒的権限を持ったカリスマ起業家が必要ですが、会社が成長する過程の中で、権限が移譲され政治力が渦巻くようになると、起業家も存在感のない社長に変化せざるをえなくるということです。

本著を読んで感じたことは、海賊的性質を持った人も、大学を卒業して大企業に入社して、ヒエラルキーと政治力の渦に巻き込まれているうちにほとんどが農民へと変化していってしまうのではないかということです。
あるいは耐えきれずに辞めてしまう。

農民は大企業にとっては一番必要な働き手ではありますが、全員が農民で良いのでしょうか?海賊的な働き方を許容できる包容力や仕組みが大企業にも必要なのではないでしょうか?

「独創性」なしにビジネスは長く生き残れません。

そして「独創性」は「自由」なしには存在しえません。

自由への希求を実現できる企業が独創性を生み出し、長く生き残っていくのだろうと思いました。